おばあが呼ぶえんがわ

沖縄をふらふらしていたときのことです。

目的もなく浜比嘉島へ行きました。「パーラーみなと」でぬるい缶ビールを飲み、おじいとぬるぬる話をしました。

ただ屋根とカウンターがあるだけの屋台です。そんな店でも飲み物でも出せば、沖縄では「パーラー」らしいのです。

「パーラーみなと」のおじいは、なぜか浜辺に走って行って「ここから、こっちが浜。あっちが比嘉!」と言いました。

 

島の中を歩いてみたくなりました。古い沖縄らしい屋根が並ぶ、白い珊瑚の道を進みます。立派な石垣の家があって、入口に「重要文化財 吉本家」と書いてありました。

入っていいのかな?そろそろと庭へ入ってみると、開け放した家の中に男の人とおばあがいます。家は見事な伝統的沖縄建築でした。

 

「あの、写真撮ってもいいですか?」と言うと「いいよー」と言って、のんびりお茶を飲んでいます。

重要文化財だから私みたいな人、多いのかな。生活のぞかれるの嫌じゃないのかな。なんとなく家の中にはレンズを向けずに、何枚か写真を撮りました。

 

「ありがとうございました」

そう言うと、おばあが手をひらひらさせました。「お茶飲んでいきなさい」。いつのまにかお茶とお菓子をのせたお盆が、えんがわに出ています。

えんがわに腰掛けて、おやつをいただきました。足をぶらぶらさせて、おばあの笑顔を見ながら、軒下にのぞく青い青い空を見ながら、ゆっくりさんぴん茶を飲みました。

 

「またねー」という声に見送られて、浜比嘉島を後にしました。