レンタル着物はお好き?

 

日本情緒漂う町を散策するなら着物がいいな。そう思う人は少なくないでしょう。

観光地へ行くと、その夢をかなえてくれるレンタル着物屋さんがたくさんあります。若い女性を中心に、外国人、時に日本人男性も、着物姿で歩いています。

みんな嬉しそう。歩きづらそうだったり、着丈が短かったりするけれど、ウキウキソワソワ歩いています。

そういう町はもともと着物人口が多い町なので、自前着物を着ている地元の人も多くいます。この人たちはそんなにウキウキしてません。慣れてるからね。

着物中心の生活をしている私は、旅も基本着物です。畳めばぺちゃんこになるので荷造りも苦労しません。

そんな私が着物の似合う町へ行くと、時々身の置き場にちょっと困ることが起こるのです。

私は旅行者なので有名スポットや名のある老舗などにも立ち寄ります。有名スポットにはレンタル着物の人たちが、老舗をのぞくとかっこよく着物を着こなす女将さんがいたりします。

女将さんが私を見て「あらご自分のね?」とつぶやき、「そりゃホンモノが良いですよねえ」と続くと返答に困ってしまうのです。

長年まっとうな商いをしてまっとうな着物を着てきた女将さんから見れば、あれは確かに素敵ではない、景観を乱すものなのでしょう。外国人ならともかく、日本人女性が喜んで着ている姿を見ると苦々しく思うかもしれません。

 

私もあまり素敵だとは思いません。でもね。着物とまるで縁のなかった彼女らを、今初めて着物に袖を通した外国人、くらい大様に見てもいいんじゃないかと思うのです。今の若い人たちは、初めての着物をお母さんに着せてもらって…などという経験がないのですから。レンタル屋さんに着せてもらって、嬉しい時間を過ごして、着物いいな、また着たいな、また着よう…と、だんだんホンモノに近づいていく人が、何人か出てきたらいいじゃない。一目で分かるホンモノじゃない着物も、何も知らない最初のキモノなんだから。

と思うんだけど、うんうんと聞いてくれるホンモノ指向の人は、案外少ないのです。

どうなのかしら?