ゴーストタウンと桜の花

今年も、みかんの実がなり始めたよ。

まだ小さいけど。

 

今年も、家の前の桜が咲きました。

誰も見る人はいないけど。

 

明るければあかるいほど

綺麗であればあるほど

 

花粉症でもないのに

右目と鼻を拭ってばかりいる

ティッシュを持ってくれば良かったな

 

何が悲しいの?

 

 

 

 台所の出窓の道具たちは

お昼ご飯の後のまま

これから食器を洗おうかと思っていたその時に

「それ」は来た。

 

それから10年

出窓のガラスは割れ散って

食器はお昼ご飯の後のまま

使い古しの歯ブラシは

つる草に巻き付かれながら

出番を待っている。

 

「人間の持ち物たちは

みんな持ち主の役に立とうと願っています」

ある巫女さんが言っていた言葉を思い出す。 

 

 

あかるい国道をひっきりなしに

ダンプトラックの轟音が行き交い

道端の桜たちを

風圧で嬲っていく

 

10トンの鉄の塊が

鹿も猪も木の葉の様に吹き飛ばす程の

自然界ではあり得ないエネルギーを伴って

のどけき里山を切り裂いていく 

 

 

 

2021年 

4月3日  

11時30分

 

使い古しの歯ブラシの出番がなくなって

10年と

22日と

20時間と

44分

 

春の日は

そんな事には何も関心がなく

ダンプにも桜にも歯ブラシにも

平等に降り注いでいる。

 

 

だれもいない街に

 

今年も

 

桜の花が咲いたよ。