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Pickles Arrangement

料理をするなら賛同してくれる人も多いかもしれないが、実は私にとってぬか漬けで一番楽しいのは盛り付けの時である。

前日に漬けておいたものをぬか床から取り出した後、私の場合はぬかを洗い落とす前に翌日の野菜を漬けてしまう。そうやって後顧の憂いを断った後に、ゆっくりと盛り付けを楽しむ。

 

私の母は草月流の師範で、家には常に生花が溢れていた。習った事などないが、私は生まれた時から生花を見て育っている。ぬか漬けの盛り付けと生花は良く似ている。花器ならぬ食器を選び、材料は与えられた植物のみ。許されているのは材料の切り方と配置の方法だけである。食品の場合はこれにさらに「食べやすく切り、盛る」という条件が加わる。この狭い範囲の中で創造性を発揮せねばならない。

 

長く生きていくうちに分かった事は色々あるが、その一つは「制限は束縛ではなく、創造の元である」という事だ。言い換えると「必要は発明の母」という事か。例えば狭い家に住んでいたら、収納の方法や家具の利用の仕方などを考え抜かねばあっという間に物置と化してしまう。私も狭い賃貸部屋に住みながら様々な収納や生活のテクニックを開発し身に付けて来た。それは仕事や遊びや生きる上での大きな力になっている。

 

話が大袈裟になってしまった。ぬか漬けを盛り付けるだけの事だった。

心掛けているのはとにかく「楽しんで盛り付ける」という事と、「その野菜の食べられる所全てを盛る」という事である。大根の葉の付け根やキャベツの芯など、普段捨てている所こそ植物の成長点であり、栄養の宝庫なのだ。それを食べられる様にしてくれる、いやむしろメイン部位より美味しくしてくれるのがぬか漬けの力なのである。微生物さんありがとう。