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愛とは何か

愛とは言葉だ

 

「愛」という言葉の事だ

それは使い尽くされ

変色し変形し

本来のものとは

違う顔になっている

 

美しく透明で輝いていた

本来の愛の光は

人間というプリズムによって

七つの色に分離した

 

その

目に見える色だけが

今、愛と呼ばれている 

 

透明な輝きは失われてしまった

 

愛に関する

最大の誤ちは

愛は橋だと思われている事

 

愛する私と

愛されるそれ

その間を結ぶ赤い光の事を

我々は愛と呼ぶ

 

それは貴重な光の橋ではあるが

本来の愛から溢れ落ちた

一つの雫に過ぎない

 

もしそれを「愛」と呼ぶならば

一枚の葉のことを「木」と呼んでも良いだろう

木を知る人はこう言うだろう

「それは木のほんの一部だ」

 

同じ様に

我々が愛と呼んでいるものは

愛のほんの一部に過ぎない

 

 

 

愛とは何か?

 

 

 

愛とは

 

「あなたそのもの」の事だ

 

あなたは愛で出来ている

 

あなたの全ては

 

愛で動いている

 

あなたは愛だ

 

あなたが愛だ

 

あなたは

 

愛以外の事は何も出来ない

 

 

 

あなたが誰かを憎むとき

あなたは愛で動いている

 

あなたの愛は偽りの自分に向かい

偽りのあなたに反射した愛は

色を変えて憎む相手へ向かい

傷つけられた相手からは

さらに濁った光があなたに返される

 

その憎しみは

愛で出来ている

 

あなたが誰かに怒るとき

あなたは愛で動いている

 

あなたの愛は自分の観念に向かい

偏った観念に反射した愛は

色を変えて怒る相手に向かう

害された相手からは

さらに鋭い光があなたに返され

あなたを切り刻む

 

その怒りは

愛で出来ている

 

あなたが物質を独占するとき

あなたは愛で動いている

 

あなたの愛は自分の肉体に向かい

肉体に反射した愛は

この世界のあらゆる物質へ向かい

他人への無関心が誕生する

その無関心は

愛で出来ている

 

愛の無い人間などいない

根の無い木などない様に

人間であるということは

愛で出来ているということだ

 

聖人も

罪人も

同じ愛で出来ている

何も違いはない

優劣もない

ただ、愛の使い方が違うだけだ

 

本物の聖人が

自分の最奥を覗き込んだ時

そこには愛しかない事を見出す

 

自己という洞窟を進んで行くと

一番奥は愛で行き止まりとなる

それ以上進むことは出来ない

それは出発点であり終着点

 

幾重にも着膨れた

自我の衣服を

一枚一枚脱いでいくと

最後に愛が残る

これ以上脱ぐものはない

それは自己そのもの

 

真の聖人とは怠け者の事だ

一々何かを愛したりはしない

そんな面倒臭い事はごめんだ

 

何もせず

ただ自分自身でいる

これ以上楽な事はない

 

愛という

自分の源泉に浸かり

その温かさを楽しむ

これ以上気持ちの良いものはない

 

幸運にも

そんな聖人を見つけたら

あらゆるものをぶつけて見ると良い

 

怒りをぶつけても

憎しみをぶつけても

どんな攻撃をしかけても

 

愛しか返って来ない

 

彼は怠け者なので

愛以外を持つことを止めたのだ

 

怒り

憎しみ

疑い

嫌悪

 

そんな高度で複雑な感情は

面倒臭いから

ただ捨てたのだ

 

自分が元々持っているもので

全て済ませる事に決めたのだ

 

だから

この偉大なる怠け者達は

愛しか返せない

 

キリスト

ブッダ

老子

 

考える事を放棄し

自身の中の

一番大元の

一番楽なパワーだけを使い

 

命をかけて

怠け切った

勇気ある

偉大なる

怠け者達

 

その愛は

どんな色も持たず

透明で輝いている

 

 

我々は

 

偽りの自分を愛し

偏った観念を愛し

自己の肉体を愛し

跳ね返った歪んだ愛の光は

相手を傷付け

更に歪んだ光の返礼を受け続ける

 

キリスト達は

 

自分が愛と知り

何もせず

一番楽な自分であり続け

無差別に愛を放射し

望んでいないにも関わらず

膨大な愛を受け取る

 

 

我々は

偽りを愛し

外側のかりそめを愛する

 

聖人は

愛を愛し

内側の実在を愛する

 

とちらも同じ愛

優劣はない

ただ、方向が違うだけ

 

 

間違った愛を教えられた我々は

自分が愛だとは気付かず

「愛するに値するもの」を

一生の間探し続ける

 

愛なる言葉は罪なるかな

誰もが愛を最上と見做す故に

愛すべきものを探し続けて

一生を終える

自分そのものが愛とは知らずに

 

自身が黄金である事に気付かず

自分の外に黄金を探し続ける

この滑稽な世界

 

愛という言葉は捨てて

「源泉」とでも言えばいい

みな自分の内側へ

宝探しに行くだろう

 

 

 

 

愛とは何か

 

それは「愛」という言葉だ

 

もう、それは捨ててもいい時期だ